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就活生の感情を揺さぶる物語 -ラスト30ページがすごい-

今日は、おススメしたい小説についてお話しようと思います。本題に入る前に、みなさんは就職活動は経験されたでしょうか、もしくは今経験中、これから経験していくといった方もいらっしゃると思います。私は就職活動を数年前に終えましたが、そこで感じたのは人間のリアルな感情を表出させるとても奇妙な時間だったなということです。今回おすすめする小説は、決して就職活動を始める前の心構えだとか、テクニックだとか、就職活動に活かされるものではありません。上述したような就職活動での人間のリアルな感情を物語化したものであり、「何者」です。この小説は映画化もされたので、タイトルだけは知っている方も多いかもしれないですね。作者はこちらも映画化もされ話題となった「桐島、部活やめるってよ」を書いた朝井リョウさんです。物語は5人の男女の大学生達の就職活動を描いたものです。読み始めればわかるのですが、5人の学生たちは「主人公以外」かなり色が濃いです。バンドに打ち込むお調子者の親友がいたり、意識高い系の女子がいたり、就職活動をバカにしているその彼氏がいたり、とにかく濃い!!!そして、なんとなくこんな学生いるいると思います。さて、そんな中主人公はどういったキャラクターかと言うと、地味です、地味。とりわけ、何か魅力があるわけではなく、周囲の4人を客観的に見ているといった感じです。その為、その客観的な視点が読者の感覚に近いので感情移入してしまいます。多くの方が、この主人公はもしかしたら自分に近いかもなとか、この主人公の考えることわかるなとなり、物語に引き込まれていくと思います。引き込まれたら最後、ぐいぐい読み進められます。それはもうぐいぐいです。特に就職活動を最近経験した方は、共感度高いことでしょう。じゃあこの小説の魅力は、キャラクターの濃さと小説に入り込めることだけなのかというとそうではありません。それだけなら、他にも同じような小説があります。この小説の最大の魅力はラスト30ページにあります。ラスト30ページに何があるかはもちろん言えません。言えることは、ラスト30ページ物語は読者に襲い掛かってきます。ここまで、感情移入させた読者に最後の最後で襲い掛かるのです。襲い掛かられたら最後、自分の浅はかさを嘆きます。誰が悪いわけではない、朝井リョウさんが上手いのです。嘆くのではなく、朝井リョウさんを称えましょう、襲ってくれてありがとう。とにかく読んでみてください、必ず感情を揺さぶられます。感情を揺さぶられる経験を皆さんしていますか。本を読み、感情を揺さぶられる、こんな経験ができるのも数多くないと思います。そして、「何者」に関しては、この瞬間、就職活動を経験したからこそその揺さぶりが大きく感じられる小説です、時間が経ってこんな小説あったなと思った時に読んで感情を揺さぶられるのと、今このリアルな経験との掛け合わせで読むのでは意味が大きく変わってきます。本は内容が同じものでも、読者の現状や生きてきた背景によって、全く受け取られ方が変わってくるものです。もし、皆さんの中で「自分は今読んだほうがよさそうだな」と感覚的に思ったら、ぜひ手に取ってみてください。